大学の資格取得の支援体制
昨今の日本の経済成長率、失業率などをみても分かるように、大学生・短大生の深刻な就職難が続いています。このような状況の下で、学生の間で「就職や将来に役立つ資格を!」と、資格取得に強い関心をもつ人が増えてきています。以前から一部の学生の間では、夜間や休日などを利用して英会話スクールなどに通うダブルスクールが行われていましたが、学生にとっては時間的・経済的にも負担が大きいものでした。
こうした時代の流れによって、大学は就職指導に力を入れる一方で、資格取得をサポートする体制を敷いています。そのサポート体制として、ここ数年で注目すべきは、エクステンションセンターやオープンカレッジといった独立した支援制度を誕生させる大学が増えつつあることでしょう。公務員試験対策講座1つだけというところから30以上の講座をも受けているところまでその規模はさまざまで、内容も多岐にわたります。下の表1では、大学での学内講座の多い順に資格を整理しております。販売士やファイナンシャルプランナー、また特に女子大では秘書技能検定など、この他にも多くの講座が設置されています。また、その課外講座の受講料は専門学校の同じ講座に比べ、かなり割安に設定されています。これも学生の資格取得への意欲を積極的に支援しようという大学の意気込みの現れです。
表1 各地大学での資格取得支援講座
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開講講座 |
主な開講大学 |
1位 |
公務員 |
早稲田大・中央大・青山学院大・東京学芸大・実践女子短大・駒澤短大など全国で150校以上 |
2位 |
簿記技能検定 |
中央大・専修大・文京女子短大など |
3位 |
旅行業務取扱主任者 |
立命館大・立教大・東洋大短大など |
4位 |
宅地建物取引主任者 |
法政大・神奈川大・明治学院大など |
5位 |
英語関係 |
法政大・淑徳大・共立女子大(実用英語検定)
東京経大・昭和女子大・文京女子短大(TOEIC) |
6位 |
コンピュータ関連 |
東京国際大・明治大(情報処理技術者) 中央学院大・共立女子大(シスアド)など |
7位 |
司法試験 |
中央大・専修大・南山大など |
8位 |
ワープロ検定 |
城西大・文京女子大・共立女子大など |
9位 |
公認会計士 |
同志社大・学習院大・関西大など |
10位 |
税理士 |
東京経大・駒澤大・山梨学院大 |
二重通学の不便さ、経済的な苦しさを考慮すると、エクステンションセンターを利用することは大変利益が大きいといえます。もし、自分の大学に目当ての講座がなかったとしても、こうした講座は大学内の学生だけではなく、他大学の学生や社会人など社会一般に向けて開かれていることが多いので、他大学の講座も調べた上で有効に活用すべきでしょう。
さらに、エクステンションセンターなどの課外講座とは別に、授業のカリキュラムの中で、資格試験対策を行っている大学もあります。例えば、経済学部の学生に対する簿記検定対策の授業などがこれにあたります。
このように、大学でどのような資格対策講座を実施しているかを見ても、必然的にどのような資格が就職に有利であり、世の中で必要とされているかが分かります。
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