「IT革命」というのが流行語大賞となるぐらい、今年一年は情報通信業界が注目されました。たくさんのベンチャー企業が誕生し、世の中はいわば「ネット・バブル」の状態になっているといっても過言ではありません。語学と同様、コンピュータを扱える能力というのは社会人として必須となってきています。
一般的に、コンピュータ関係で就職用の二大資格は、「基本情報処理技術者」試験(旧・第二種情報処理技術者)と「初級システムアドミニストレータ」試験です。前者はSE(システムエンジニア)を目指す人にとっての入門的資格であり、後者は仕事上でコンピュータを効率よく使いこなすための表計算及びデータベースに関する基礎的知識の有無を試す資格です。両者とも国家資格であり、圧倒的な知名度をもつ試験です。両試験とも年に2回、4月と10月に行われていまして、全国で大学生・短大生・専門学校生を中心に、それぞれ年間20万人以上が受験している人気の資格試験です。
これ以外にも、パソコン検定や情報処理活用能力検定(J検)をはじめとするいくつかの検定試験も実施されています。しかし、知名度からも社会的評価からも、前にあげた2つの国家資格にはとてもかないません。基本的には、前二者から取得を始めるとよいでしょう。
そして、確実に即戦力として採用されたいと考えるのならば、上位の資格にも積極的に挑戦すべきです。たとえば、「ソフトウェア開発技術者」試験(旧・第一種情報処理技術者)や、「データベーススペシャリスト」試験をはじめとする高度情報処理技術者試験があります。これらについて取得できればものすごいアピールになります。また、これらについて勉強中である方は、その旨を企業側に伝えるとよいでしょう。
さらに、最近ではソフトウエア単位で企業が実施しているいわゆるベンダー資格を評価する傾向があります。特に、上場している大企業や、IT関連のベンチャー企業ではこの傾向が強いといえます。この例としては、マイクロソフト社製品の技術力を試す「MCP」や「MOUS」、オラクル社のデータベースソフトの技術力を試す「オラクルマスター」などがあります。
これらの資格の普及・人気上昇を見るにつけても、企業側が求めているのは、単にパソコンが使いこなせる人、仕組みが頭の中で分かっている人ではなく、実際のビジネスの場で使える人、ビジネスに活かせる人だといえます。つまり、競争の中で生き残っていくためにはパソコン能力以外の能力、即ちパソコンプラスアルファーの能力が必要とされます。
さらに、企業に人事担当者は、ネットワーク関連業務に携わる人も全社的な視点をもってほしいと口を揃えていいます。いかに優秀なシステムであっても、それが企業業務の効率化につながっていなければ意味がありませんし、間接的にでも経費節減・収入増大につながらなければなりません。今後SE等の専門職を目指す人は、そういった提案が積極的にできる旨をアピールしていかなければなりません。
パソコン関連資格を取得している、あるいは、これから取得しようとする人は、その能力を社会人になったとき、どんなシチュエーションで発揮できるのか、その資格によって自分がどんなメリットを会社にもたらすのか、きちんと考えて就職活動にのぞむといいでしょう。これについては、ワープロでの入力についても、プログラミングについても同じです。そしてさらに、そのことを効果的に企業に対してアピールする作戦をじっくりと練ることこそが、「内定獲得」への近道です。
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