現代日本は世界を引っ張っていく国の一つであり、経済・社会の国際化により、我々の生活の中でも外国語を用いる機会が従来に比べてかなり増えました。海外渡航や留学を経験している人の割合も以前に比べてずいぶん増加しており、帰国子女もそれほど珍しい存在ではなくなりました。ビジネス社会でも同様で、いまや外資系の企業に限らず、ある程度の語学力は日本人の社会常識として必要になってきています。
ただ、就職試験として独自に語学の試験を行っている企業はそれほど多くありません。自分の語学力は、自分で証明しなければならない時代になっています。英文科や仏文科出身の人はいいかもしれませんが、その他の人は「資格」という形でしか自分の語学力を示すことが困難になっています。
一般的に、語学関係で就職関係の二大資格は、「実用英語技能検定(英検)」と「TOEIC」です。前者は圧倒的な知名度と歴史があり、後者はヒアリングを重視した、実務を意識した試験だからです。特に、TOEICは二ヶ月に一度以上の割合で実施され、過去の一番良いスコアを履歴書に記入すれば良いのですから、就職活動を行う一年ぐらい前から毎回受験しておきたいところです。(少し受験料が高めなのが痛いところでありますが・・・)。TOEFLはあくまでも留学用の試験であるので、就職には余り実益がありません。
これ以外にも、国連英検の特A級や通訳案内業国家試験など、難関といわれる英語の検定試験はあります。私なども通訳案内業国家試験の二次試験(面接)において「『わび』と『さび』の違いについて英語で説明しなさい」と質問されて大変だったのをよく憶えています。ただ、人事担当者が試験のレベルを正確に把握していないことが多いため、せっかくの難関資格も正しく評価してもらえない危険性もあります。
さて、気になる「履歴書に書いて評価の対象となる一般的なライン」ですが、実用英語技能検定二級、国連英検B級、TOEIC600点、商業英語検定C級、工業英語能力検定三級程度です。英語を武器に就職したいと考えている場合には、さらにこれよりも上位の級を取得したいところです。
また、英語の資格試験は、その人の実務における英語力を示すものでなければなりません。従って、英語の資格試験を比べる際の一つの視点として、実務をどの程度重視した試験なのかというのは重要です。この観点からは、実用英語技能検定は、試験制度が少し変更された現在も、実務とは少し遠いといわざるを得ません。まだTOEICの方が実務的ではありますが、これでもまだまだ十分とはいえません。
実務を徹底的に重視した試験として有名なのがBETAや国際秘書検定、商業英語検定等です。自分の選ぶ業界によっては、工業英語能力検定、旅行業英語検定、面接試験のみのオーラルコミュニケーション検定なども実務重視であるといえます。これにより、間接的にですが、自分の業界に対する関心もアピールできるという効果もあります。
以上述べてきたように、総合的に現在一番といえる英語の資格は「TOEIC」であると思われます。TOEICには合格・不合格のような基準はなく、客観的に自分の英語力がどの程度のものか測定することができます。また、先述のように、二ヶ月に一度以上と受験できる機会も多く、自分の納得いくスコアがでるまで何度でも受け直せるというメリットがあります。市販の教材や学校の対策講座も多く、是非早いうちから何度か挑戦したいところです。
今回採りあげたものの他、最近は間接的に自分の英語力を示す方法があります。即ち、米国公認会計士(CPA)や米国税理士(EA)、米国技術士(PE・FE)などの海外資格を取得することにより、これらの試験で出題される内容程度の英語力があることを示すことができるのです。近い将来、競争の中で生き残っていくためには語学力以外の能力、即ち英語プラスアルファーの能力が必要となってくるでしょうが、これらの資格の普及・人気上昇はまさにこれを先取ったものであると思われます。
また、最近では企業の海外進出に伴い、英語以外の語学を重視する企業も増えてきました。その中でも、特に中国語が注目されているようです。将来を見据えて、内定獲得後でもいいからこういった勉強をするのもよいかもしれません。
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