はじめに
21世紀を迎えるにあたり、資格試験業界でも様々な変革が行われてきている。特に「難関」といわれる資格を中心に、今後試験制度が変わると思われるものも多い。そこで、以下において試験ごとに特ダネ情報を提供していくとともに、今後の予測についても触れていくことにする。
1.司法試験
現在、ロースクール構想の下、アメリカの制度に近い法曹育成システムが検討されている。即ち、ロースクールといわれる法律系大学院の過程を修了した者が、特別の試験に合格することで法曹資格を与えるというものである。実現されれば、司法試験に合格しなくても弁護士・裁判官・検察官になることが可能となる。
某情報筋によると、ロースクール化は平成15年から実施が決定しており、日本で20校ほどが指定校となる予定である。その大学院入試の前提として全国統一の共通一次試験(現状の短答式試験類似のもの)が実施される予定である。ここでの足切り点を突破した人が、各大学院が独自に実施する入試試験を受験できるという仕組みである。司法試験受験生は早く合格したいものである。
2.公認会計士
国際会計基準の導入に伴い、様々な変革が今後予想される。具体的には、現行の試験制度を税理士試験のように科目合格制にすることが2006年から決定されている。また、有資格者も3〜5年に一度、新しい会計システム等に関する研修を受けることが義務付けられることが検討されている。
もしこれが実現されれば、合格しやすくなり、税理士その他の資格の有資格者にとっては朗報といえよう。ただ、これもまだ2〜3年先の話になるものと思われる。
3.弁理士
IT分野を中心とする技術革新により、特許や実用新案の提出も増加し、同時に著作権に違反する事件も増えている。そこで、弁理士の合格者を増やし、迅速・円滑な処理をすすめていこうという動きがみられている。
具体的には、論文式試験の科目が「特許・実用新案に関する法令」、「意匠に関する法令」、「商標に関する法令」および選択科目の4科目となり、受験生の勉強が軽減される。また、一定の資格を有する者(技術士・大学院修士課程修了者など)には選択科目の科目免除が与えられる。これらの改正は平成14年度の試験以降適用される予定である。
4.情報処理技術者
これに関してはもう決定済みで、平成13年度の試験から新制度が適用されることになる。新制度の特徴としては、まず「プロダクションエンジニア」試験が廃止され、代わりに「情報セキュリティーアドミニストレータ」試験が誕生したこと、受験資格のうち、年齢制限に関する事項が撤廃されたこと、職務経歴書の提出義務がなくなったこと、「第一種」「第二種」でおなじみだった情報処理技術者試験がそれぞれ「ソフトウェア開発技術者」「基礎情報処理技術者」という試験区分に変更されたことなどが挙げられる。
情報処理は現在社会で最も変革の激しい分野であり、このように時代のニーズに沿うように試験制度が変更されるのはむしろ望ましいことである。試験対策としては、結局のところ従来までのやり方とあまり代わりはなく、過去問を中心に勉強するほかないであろう。
5.中小企業診断士
本資格についても、平成13年度からの試験制度の変更が既に決定している。まず、従来商業部門・情報部門・工鉱業部門の3部門に分けて実施されていた本資格が一部門に統合されます。これに伴い、試験科目も「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「新規事業開発」「経営情報システム」「中小企業経営・政策、助言理論」の8科目になるとされています。また、論述のみだった二次試験に口述試験が導入される見込みです。
大筋はこのようになっていますが、今度の改正についてはまだ詳細が発表されていない状態です。今年度の試験結果を踏まえた上での、今後の通産省の発表に注目しなければなりません。
まとめ
このように、時代の流れに即して、資格試験も変わってくるのは、有資格者に求められている能力が変化することから、ごく当然のことといえよう。逆に、このような時代のニーズに合致した試験については、有資格者に対する評価も当然のことながら高くなることが予想される。
将来のために役立つ知識・技術を身につけたいと思っている人、「資格」業界の変動に注目してみると少しはヒントになるかもしれない。
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