はじめに
二十一世紀になっても、しばらくは資格社会が続くものと思われる。就職や転職、会社内での昇進についても、資格が何かと役立つことになろう。すると、大学で特定の単位を取得するだけで、特に難しい試験もなく資格が取れるという話に飛びつく人も多いのではないか。
国家資格を中心として、大学の特定の学科を卒業するだけで、又学科が異なっても、特定の単位を取得するだけで取得できる資格がある。今回はこれをいくつか紹介しよう。
1.教諭
幼稚園から高校まで、そして養護学校についても、先生はみんな教員免許が必要である。大学において教職に関する科目と担当する教科に関する単位を規定どおり修得することによって、免許が与えられる。なお、現在は教育実習の実施の他、介護に関するボランティア経験が免許取得の要件となっている。
2.学芸員
学芸員とは、博物館において資料の収集・保管、その他の調査研究を行っている専門家である。博物館学をはじめ、特定の科目(一〇科目程度)をいくつか履修することによって、国家試験を受験することなく、資格を取得することができる。また、不足単位についてのみ国家試験を受験・合格することによって資格を取得する方法もある。
3.図書館司書
図書館において資料を収集・管理するとともに、貸出業務等に携わるのが図書館司書である。図書館概論など、一四科目以上の単位を修得する必要がある。図書館司書についても、不足単位について、文部省の委嘱を受けた大学が夏休みに実施する講習を受講することによって、資格を取得することができる。
4.司書教諭
司書教諭とは学校の図書館の司書であり、資格を取得するためには教諭普通免許状が必要である。大学において五科目程度の特定の単位を修得することによって資格を取得できる。
5.測量士補
測量の専門家を目指す人の入門的資格である。大学の土木学科・農業土木学科・地理学科等を卒業することによって資格を取得することができる。修得単位は問わない。なお、有資格者は土地家屋調査士試験の二次試験が全部免除される。
6.栄養士
われわれの食生活、特に栄養バランスに関する専門家の資格である。厚生大臣が指定する大学の家政学部食物学科・生活科学科等において、特定の単位を修得すると、無試験で免許が与えられる。
7.保育士
あまり聞きなれないが、保父・保母さんのことを現在保育士という。大学の児童学科・福祉学科等で保育や児童に関する所定の単位を修得することによって、無試験で資格を取得することができる。また、不足単位についてのみ国家試験を受験・合格することによって資格を取得する方法もある。
8.食品衛生管理者
食品衛生管理者とは、食品や添加物の製造工程において、作業の管理・監督を行うものの資格である。医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学のいずれかの課程を修了したものには、講習の受講や試験なくして資格が与えられる。
9.毒物劇物取扱責任者
毒性・劇性の著しい化学薬品を取り扱う場合の責任者となることのできる資格である。国家試験を受験して取得することもできるが、応用化学に関する学科を修了した者には無試験で資格が与えられる。
まとめ
以上のように、うまく単位を重ね合わせることによって、結構いろいろな資格を取得することができる。特に、文学部・教育学部や化学系の学生は選択の幅が広い。この他にも、介護福祉士、衣料管理士、社会福祉主事等たくさんの資格を取得することができる。学生の皆さんは、今後どの授業を取るか考える際に、少しは考慮に入れてもらいたい。
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